その2 台風撃滅大作戦



ゴトゴト、ガガガ、ビュービュー。ガラス戸が鳴り、雨戸が揺れる。
両親は懐中電灯や蝋燭を用意する。
「徒然 BAN PACK! テクノロジー/その1」で書いたように、
私の生家はとても古い家で、
台風の来る夜は、とても怖いものでした。

三菱未来館は、1970年が三菱グループ100周年にあたり、
その規模も大きく、国内企業館で最初に入館者1000万人を突破した、
人気のパビリオンで、私も1回目に会場に訪れた時に、親戚の叔母にねだって、
真っ先に訪れました。
(その時、「たった」25分待ちで入館できたのが自慢。)

入館者は、トラベーターと呼ばれる「動く歩道」に乗り、
その周囲のスクリーンに映される大自然の映像に包まれる、所謂、
バーチャルリアリティの先駆け的なものでした。

全5室から構成され、その第2室の映像テーマが「日本の空」。
その中で出てきたのが、気象コントロール隊が戦闘機に乗って、
ミサイルで台風を消滅させるという、画期的な映像でした。

何と、あの怖い台風が、人間の手で壊せるなんて、すばらしい!。

実は、この台風をミサイルか爆弾かで弱体化させる話は、
当時の少年漫画雑誌などに、よく載っていたので、
「こんだけ、いろんな本に書いたある。これは、いつかほんまになるで。」
と、万博後も、いつ実現するのか考えていました。

考えて、考えて・・・いつの間にか忘れて・・・30年。
やっぱり、実現していませんでした。台風は毎年、元気に日本に来ます。

この台風撃滅作戦、天変地異に真正面から立ち向かう、
正に、高度経済成長期的超モーレツ計画ではありませんか。すばらしい。

河川改修や治水工事による、水害への戦いは、それまで、
何十年、いや何百年と続けられていたでしょう。

それを根底から覆す、この計画。
明るい未来に向けた壮大なメッセージだったのでしょうが・・・。

実際、30年前に比べて、河川改修や治水工事、気象衛星の進歩などで、
浸水被害などは減っているかも知れません。
私の家も、アルミサッシになり、風雨によるガタガタ音や、
雨漏りもありません。30年前に比べて、停電することも、
すっかり減りました。

でも、心のどこかで台風に対する恐怖感は残っています。
いつか、いつか、必ず実現させて欲しい、と思っています。

たのむぞ!子供たち、おっちゃんが死ぬまでに台風の来ない夏を、
体験させてくれ!(と、すっかり他力本願モード。)


「台風撃滅大作戦」
迫力度・・・・・・・・★★★★★
実現度・・・・・・・・☆☆☆☆☆
でも、実現期待度・・・★★★★★